3Dプリントと鋳造の分野において、時間とコストを節約するために不要な工程を削減することは、常に私たちの重点事項です。最近実施したキャスト樹脂を用いたテストでは、バーンアウト鋳造前にプリントしたパーツをグリセリンに浸して硬化させる必要がないことが分かりました。グリセリンを使用した場合と同等のクリーンな結果を得ることができました。この記事では、その理由を説明し、簡略化した操作手順をご紹介します。
1. グリセリンが最初に推奨された理由
グリセリンは空気中の水分と酸素を遮断します。そのため、硬化効率を高め、造形物の吸水を防ぎ、造形時に問題を引き起こす可能性があります。これは、多くのユーザーがDIY硬化装置を使用していた時代に推奨されましたが、そのUV出力は不十分な場合が多かったため、ユーザーが可能な限り硬化を促進できるようにするためのものでした。
2. グリセリンを非必須成分として研究した理由
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入手困難:一部のお客様は、特定の国や地域でグリセリンの購入と輸送に制限があり、プロセスの複雑化とコスト増加につながっています。こうしたお客様を支援するため、グリセリンを使用せずに樹脂を硬化させながらも、同等の鋳造結果を実現する方法を検討しました。
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粘度と洗浄の難しさ:グリセリンは本質的に粘着性があるため、使用後に追加の洗浄工程が必要になります。これにより余分な時間と労力がかかり、生産効率に影響を及ぼします。
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余分な処理時間:樹脂をグリセリンに浸すという余分な工程は、製造工程を長引かせます。この工程を省くことで、ワークフロー全体がよりシンプルになり、効率も向上します。
3. テスト結果: グリセリンなしでもバーンアウトの品質は同じ
同じバッチのキャスト樹脂を用いてA/Bテストを実施し、グリセリンを使用して硬化させたモデルと使用せずに硬化させたモデルを比較しました。その後、同じバーンアウト鋳造プロセス(同じ6時間のバーンアウトスケジュール)を実施しました。その結果、最終的な鋳造パーツは、グリセリンの使用の有無にかかわらず、表面ディテール、構造強度、そして全体的な品質がほぼ同一であることが示されました。ただし、安定したバーンアウト性能を得るためには、パーツを完全に硬化させるには、高品質の硬化装置を使用することが重要であることをご承知おきください。

(テストA:グリセリンを使用したバーンアウト結果)

(テストB:グリセリンなしのバーンアウト結果)
4. 推奨される硬化プロセス
バーンアウト鋳造前にグリセリンを使用する必要はありませんが、3Dプリントしたパーツの硬化は不可欠です。洗浄工程の後、以下の手順をお勧めします。
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完全に乾燥させる:作業を進める前に、プリントが完全に乾いていることを確認してください。乾燥機や50℃以下に設定したオーブンなど、何らかの乾燥装置の使用をお勧めします。
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樹脂を完全に硬化させる:乾燥後、キャスト樹脂を完全に硬化させることで、きれいなバーンアウトを実現できます。また、プリントが水分を吸収しないようにすることも重要です。水分が蒸気となり、型の表面を損傷する可能性があるため、バーンアウトの仕上がりに影響を与える可能性があります。硬化時間は照明器具によって異なりますが、10分以上かかる場合が多いです。
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オールインワンマシンの使用を避ける:洗浄と硬化が一体となったオールインワンマシンの使用は避けてください。
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硬さを確認します。完全に硬化した印刷物は硬く、少し脆い感じがするはずです。
5. 結論
多くのお客様にとって、グリセリン硬化工程を省略することで、鋳造品質を維持しながら、生産時間とコストを大幅に削減できます。また、材料調達と洗浄が簡素化され、3Dプリントと鋳造の両方のオペレーションが効率化されます。
キャストレジンの使用に関するご質問、または硬化・バーンアウト手順に関するサポートが必要な場合は、お気軽にお問い合わせください。お客様の3Dプリントおよび鋳造プロセスを保護するために、効率的なソリューションとサポートを継続的に提供してまいります。
2 コメント
Justin
“oven set with a temperature under 90°C”
What temperature is ideal under 90°C?
How long should we dry for?
Gerson Teixeira
Is this process recomended just for True Blue or it will works with purple resin?